第511話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その215

 初めて聞く話に、華は目を丸くした。

「中学の時に仲が良かった子は、同じ本好きだったんです。考え方も似ていたから、気が合って仲良くなれたんです」

 今なら思い出しても、温かい気持ちになる。生まれて初めて、誰かと一緒に居るのは楽しい、と思えたのだ。

「まだ二か月しかたっていませんから、皆さんの事はよく知りませんが、今のところ、私はまだ、友達よりも自分の心のケアを優先したいんです」

 そう言った後、結は前向きとも言える自分の言葉に心の中で驚いていた。

 今まで、心の傷を治そうとする気力すら湧かなかった。何もせず、面白い本を読んで気を逸らす事しかやってなかったから。

「傷ついた経験があるから、霧島さんは寄り添えることができるんだね」

 ふいに、優しい声が教室の入り口から聞こえてきた。

 教室の中に居た結達が振り向くと、出入り口に杉村が立っていた。

「霧島さんが寄り添ってくれたおかげで、私も助けられたんだよ。成宮さんのおかげであの時は助けられたけど、私は霧島さんが否定せずに受け入れてくれたのが、とても嬉しかった」

 杉村の感謝の言葉に、同級生達は前あった事件を思い出していた。華が成宮グループの力を使って当時ものすごく困っていた杉村を助けたのだ。

「結、何かしたの?」

 華達は、あの事件は結のおかげで解決したとは知らされていなかった。

「私は、話を聞いただけです」

 そして結は、自分から公表する事はしなかったのだ。  

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