第504話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その208

「あなたは本当に、周りに気遣える人なのね」

 根室の言い方は嫌味なんかではなく、どちらかと言えば結を褒めるような感じだった。

「どっかの誰かさんとは違うわね。自分の意見が正しいって思い込んで、当たり前のように押し付けてくる人とは」

 そう言いながら、根室は華の方をちらっと見た。

「…!?」

 先ほど神崎にそう言われたのもあって、華はさらにショックを受けた。

「親子で、霧島さんに自分の意見を押し付けていたとはね。霧島さん、大変だったでしょう?」

 根室からそう聞かれ、結はつい「まあ…」と答えてしまった。

「成宮さんがやたらと霧島さんを人気者にしようとしたのは、それも関係あるんじゃないかしら。新しい友達を作ってあれげば、いつまでも別れた友達の事でウジウジしなくてすむから」

 結は今でも、中学時代の事件を引きずっている。新しい友達を作ってあげれば、立ち直れるんじゃないか、と華は考えていたのだ。

「…私は、人付き合いの楽しさを、結に知ってもらいのよ」

 友達と喋ったり、放課後一緒に遊ぶのは楽しい。華は、一人で行動している結に一人では味わえない楽しさを知ってほしかった。

「それを奪ったのはどこの誰かしら?しかも、権力を乱用して霧島さんの心を傷つけたのに?」

「―!?」

 根室からの言葉に、華は言葉を失う。結から友達を奪ったのは、自分の父親の思い込みによる公私混同な行いだ。

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