第499話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その203

「神崎さん、どうしたの?」

 華は、明るい顔で神崎へ聞いてきた。

 階段の踊り場は今、華と神崎の二人きりだ。周りに、人は居ない。

「成宮さん」

 手を握る力が急に強くなる。汗をかきそうになるが、神崎はやや俯いていた顔を上げて、はっきりと自分の気持ちを言う覚悟を決めた。

「どうして霧島さんとはもう友達だと決めつけるの?私、霧島さんとはまだ友達になっていないよ」

 真剣な顔で言った神崎の言葉に、華は頭が真っ白になった。

「…え?」

 華にとって、理解できない内容だった。神崎は、結とは友達になっていない、と言い切ったのだ。

「前からずっと引っ掛かっていたの。成宮さんは肝心の霧島さんの気持ちを確かめていないのに、もう私と霧島さんが友達になった、って勝手に言っているよね」

 責めているわけではないが、事実とは違う事を言っている華に対して「それは違うよ」と話す神崎のさらなる言葉に、華は「…ええっと?」と混乱していた。

「朝、霧島さんから聞いたよ。どうして霧島さんは友達を作らないのか?」

 それを聞いた華は、混乱していた頭が少し落ち着いた。

「中学の頃、せっかくできた友達の怪我の世話をしていたら、成宮さんのお父さんが『無理やりやらされている』って勘違いして、学校側に圧力かけたから、その友達は『みんなに迷惑かけたから』って転校していった、って」   

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