第486話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その190

「この子達に、アルバイトを…!?」

 根津の母親が、戸惑いながら聞く。それに対し、結の父親は「ええ」と答えた。

「保護者である貴女方がお金を返すより、奪った本人達に働いて返してもらったほうが、いい教育になると思います」

 実際に働いてお金を得る体験をさせた方が、お金を奪われることがどんなに酷い行為なのか考えさせることが出来る。結の父親は三人組が二度と悪い事をしないように、こう提案をしたのだ。

「…で、でも勉強が」

 根津の父親が、弱弱しい声で反論する。結の父親が取引先の部長なのと、被害届を取り下げてもらうために強く言えなかった。

「もう一つの条件として、お嬢さん達には『学遊塾』へ通ってもらいます」

「―!?」    

 結の父親が出した次の条件に、根津の父親だけでなく飛騨と浦の父親達も面食らう。まさか、塾を勧められるとは思いもしなかったからだ。

「…で、でも『学遊塾』はレベルが高いと聞きましたが…」

 根津の父親が、おどおどした顔で言う。娘には無理だ、と言わんばかりに。

「よく誤解されますが、その塾は『楽しく学ぶ』がモットーなんです。だから、学校の成績に関係なく入れますよ」

 安心させるように、結の父親は説明する。隣に居た結も、大きく頷いていた。  

「もし塾の費用が心配ならば、同じ系列で無料で教えている塾もあります。そこも、成績に関係なく希望者は入塾できます」

 強く勧めてきた結の父親に、三人組の両親は黙ったままだった。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る