第478話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その182
それを聞いた結の父は「弟がすまない事をした」と詫びた。
結は「お父さんのせいなんかじゃない…」としゃくりあげる。むしろ、父が祖父である会長へ知らせてくれたから、叔父の暴走を止められたのだ。
「さすがに二度と、こんな事はしないようにお爺様がしっかりと釘を刺しておいた。だからもうこんな事は起こらないよ」
今回の出来事が会社の中だけでなく、取引先にも伝わったらしく、今後の付き合いに不安を覚える会社が出てきたのだ。それを会長から知らされた結の叔父は、さすがに「まずい…!」と思ったらしくこれからは二度と職権乱用しない、と誓約書まで書かされたのだ。
「成宮家は幸澤市では強い権力を持っているが、他の市や県では通用しないからね。今回は、いい戒めになったと思うが」
少しは反省した弟を見て、結の父は「自分も成宮家の一員として気を付けなければ」と思ったのだ。本社の部長、という肩書だけでも、部下や取引先の相手に影響を与えられるから。
「結、お父さんとお母さんも『無力だ』と感じる事があるんだよ。今回はお爺様がいなかったら、叔父さんを止める事ができなかったからね」
結は父親の話を聞き始めた。父親の目をまっすぐ見ながら。
「結が好きなアニメや漫画の主人公達も、自分の無力を感じて悲しむ時があるだろ?」
そう聞かれた結は、ゆっくりと頷く。確かに、何度もそんな場面を見たことがある。
「主人公だからって、いつでも上手くいくわけではない。試練にぶち当たって、挫折したり落ち込んだりする時があるんだ。それでも、乗り越えて、立ち直って、次からはどうすればいいのか考えたりするだろ?」
父親の声は優しく、結を包み込む。大好きな主人公達はどうやって前に進んだのか、それを思い出させるような言い方だった。
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