第476話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その180

「…転校、ですか!?」

 五日目の金曜日、ノートのコピーを届けに来た結は、女生徒の母親から告げられた言葉に一瞬頭が真っ白になった。

「来週から、県外の学校に通う事になったの」

 それを聞いた瞬間、結は「また叔父が何かしたんですか!?」と取り乱した。もしかしたら、圧力をかけたのかもしれない、と。

「ううん、違うの。実は幸澤市に来たのはあの子のリハビリに備えてだったの。ここだと私の弟夫婦がいたから、リハビリに通いやすいから、って」

 だが、今回の事件で女生徒はふさぎ込み、学校にも行けなくなってしまったのだ。それで、単身赴任をしている父親がいる県外へ、引っ越そうという話になった。

「本当に、霧島さんには心から感謝しているの。足が不自由なのに嫌な顔をせずにそばに居てくれたから」  

 四十代前半の、黒いロングヘアの女性は、頭を下げながら結へそう言った。

「だからあの子は、あなたが自分のせいで怪我をしてしまった事に責任を感じてしまったの。そして、自分のせいで宿泊体験が出来なくなってしまった事も」

 大事な友人だからこそ、守れなかった自分が許せなかった。そして、もうそばに居ることはできない、と思いつめた女生徒は、転校を決めたのだ。

「そんな!責任を感じなければならないのは叔父の方です!何も悪くないですし!引け目に感じることなんかないです!」

 結が叫んでしまったのを見て、母親は「ありがとうね」と少し辛そうに微笑んだ。

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