（お爺様のおかげで、制裁は撤回できましたし）

　昨日の夜、結の父が会長へ相談すると、すぐに男子生徒への制裁をすべて撤回してくれた。

　その日のうちに職場へ復帰でき、大学を辞めずにすむだけでなく、祖父母も「施設へ戻れる」と聞かされた男子生徒と家族は、結達へ何度も礼を言ったのだ。

（でも本当に叔父さんには困りました…。まさか、隠しカメラまで設置していたなんて…）

　骨折していた同級生の世話を結に押し付けていたのを知ることができた理由は、いつの間にか結の教室に監視カメラが設置されていたからだった。

　ちなみにそのカメラは来週まで撤去されることが決まった。それを知った会長は、昨日の夜に叔父を呼び出して徹底的に厳しく説教したのだ。

（…これで、叔父さんが大人しくなればいいのですが）

　叔父のせいで、学校に迷惑をかけてしまった。

　結は責任を感じて、ため息をついたのだった。

　週明け、成宮グループの会長が、結の中学校へ謝罪に来た。

　本当は社長である叔父が来るべきだったが、急遽社運がかかっている重大な仕事が入ったため来られなかったのだ。

　それでも最高権力者である会長が直々に来て、深々と頭を下げたのを見た校長と担任の先生は、逆に「どうか顔を上げてください」と戸惑った。

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