第467話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その171

 一か月後、学校の行事で山の中の施設で宿泊体験する日が近づいてきた。

 女生徒はまだ松葉杖だったが、医者から許可はもらっていた。結は一緒に居られる事を楽しみにしていたのだ。

 だが、当日の朝に教室で、担任の先生がやりきれない顔で「このクラスの宿泊体験は、突然中止になってしまった」と、絞り出すような声で告げたのだ。

 一瞬、誰もが何を言っていたのか分からなかった。その意味が分かった生徒達が、担任の先生へ詰め寄るように質問を浴びせると、苦しさと申し訳なさが混ざった声でこう答えた。

「…成宮グループの社長が、施設の人へ命令したんだ。学校側にも『怪我人の世話ができない生徒が来るから、施設へ迷惑をかけないようにした』と連絡が来た…」

 それを知った結は、頭から重いハンマーで殴られたような衝撃を受けた。まさか、叔父が圧力をかけて施設を使わせないようにしたと思わなかったからだ。

「…学校側も掛け合ったが、無理だった…。すまない!」

 土下座してあやまる担任の先生を見て、結は頭が動かなくなった。

 先生は何も悪くない。謝らなければならないのは、成宮グループの方なのに。  

 結が、口を開こうとした時、

「―てめえのせいだぞ!」

 ショックで頭に血が上った男子生徒が、結の隣に座っていた女生徒の方へ突進してきた!

「待ってください!」

 椅子から立ち上がった結が、その男子生徒の前へと立ちふさがる!男子生徒の怒りの拳は、結が突然現れたことから手元が狂い、結の頭に直撃してしまった!

「―!?」

 男子生徒の手加減なしの拳が、こめかみに当たった結は、横へ倒れながらそのまま起き上がらなかった…。   

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