　同級生達が、日替わりで足を骨折した女生徒の世話をする事が告げられた後、結は最初に指名された男子生徒へ日頃から女生徒へどうしているのか説明した。

　その男子生徒は、いかにも面倒くさい、という顔だ。もしかしたら結の説明を聞いていないかもしれない。

　一日だけとはいえ、移動時の休み時間は友達と一緒にいられない。先生から「必ず一人だけでやるように」と言われてしまったのだ。

　それでも結が付き添ったのは、女生徒が戸惑って不安だったからだ。その男子生徒は小声で「霧島がいるんだから、わざわざ世話しなくていいじゃん」と呟いた。

　無理やり付き合わされてしまい、女生徒は申し訳なさそうに俯いた。それを見た結は、なぜ急にこんな事になってしまったのか担任の先生へ聞くことを決めたのだった。　　

　帰りのHRが終わった後、結は担任の先生へ質問した。

　普段は冷静な結が、一刻も早く事情を知りたがっていた様子に少し驚いていた四十代前半のやや白髪が混ざっていた短髪の男性教師は、結へ衝撃の理由を話したのだ。

　なぜ同級生達が、結の友人である女生徒の世話をすることになったのか、それは昨日の昼頃に突然、成宮グループの社長から言われたからだった。

　成宮グループの社長は、結にとって叔父にあたる。なぜ叔父が急にそんな事をしたのか、結は心当たりなどなかったのだ。

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