第457話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その162

 確かに、時間がなかった。そして『目撃情報と同じ格好をしていればバレにくいだろう』と、高をくくっていたから、すべて素手で掴んでいた。

「学校側にも指紋を提出してもらったら、ほぼ一致したの。そう、あなた達の指紋が」

 とどめと言える一言だった。もう決定的な証拠がある、と。

「そういう訳だから、詳しい事情を聞くためについて来てくれる?」  

 三人組は、それでもまだ首を縦に振らなかった。どうやって、この場から逃れるのか、必死に考えようとしていた。

「そうそう、自己紹介を忘れていたわ。私は泉野京子。そして、こういう仕事をしているの」

 泉野が取り出した手帳を見た瞬間、三人組の思考は衝撃のあまり完全に停止した。

 その手に持っていたのは、警察手帳だったからだ。

 

 とうとう観念した三人組は、泉野刑事と共に近くの警察署へと連れていかれた。

 パトカーに乗り、警察署まで連れていかれる。まさかこんな事になるとは思っていなかった三人組は虚ろな顔で警察署の入り口へと足を動かしていた。

「多美子!」

 警察署へ入った瞬間、四十代前半の灰色のスーツ姿の男性が怒鳴るように叫んだ。その声を聞いた根津は体をビクッと震わせる。

「お前ってやつは!どれだけ手間をかけさせれば!」

 怒鳴っていた男性の隣にいた同じ年の紺色のスーツ姿女性も、同じく怒っていた。こちらは口には出さなかったが、根津への怒りがどんどん伝わってくる。  

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