第451話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その156

「その日は、三組でも体育がありました。日に焼けたくない、という理由で今の季節でも長袖のジャージを着ている人はいますので、ジャージを持ってきていても不自然ではありません」

 結達一年生のジャージの色は、濃い紺色だ。遠くから見たら黒色と間違えてしまうのも無理はない。

「そうそう、近くの建物のカメラにも、ジャージ姿のあなた達が映っていたわ。そこで着替えてから、結ちゃんが来る前に公園で待ち伏せしていたのね」

 結より先に学校の玄関に来て、手紙を置いた後、大急ぎで近くの建物のトイレの中でジャージに着替えたらすぐ指定された公園へと向かう。そして自動販売機のゴミ箱に捨ててあった数本の空のペットボトルに、水飲み場の蛇口の水を入れると、近くに隠れて結が来るのを待ったのだ。    

「そして結ちゃんへ水をかけた後に、通学鞄からお金を盗んでその場から逃げる。それからまた近くの建物で制服に着替えれば、すぐに見つからない、と思ったのでしょう」

 女性からの推理に、三人組は黙ったままだ。しかし『納得がいかない』という顔で。

「貴女達がその日に近くのゲームセンターに入ったところも、防犯カメラに映っています」

 結からの言葉に、三人組は不意を突かれた顔になった。

「そこで、盗んだお金をすぐ両替したのです。私が盗まれたお金は、一万円札が三枚でしたから」

 ゲームセンターには、小銭へと両替する機械がある。そこに入れてしまえば、千円札と百円玉になるので、一万円を盗んだことはバレにくくなるのだ。

「ですが、ゲームセンター側としては、両替だけするのは困ってしまうのです。それで、ジャージ姿の貴女達が両替したらすぐ出て行ってしまったことをよく覚えていました」

 両替したのならそこで遊んでほしいのに、ゲームすることなくそこから出て行ってしまった困った客を、その場に居た店員がよく覚えていたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る