第439話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その144

「…どういう意味?」

 飛騨がやや機嫌を損ねたように言う。

「ナツミさんへした事は『ダイエットに協力する事』ではなく、自分達だけ美味しい思いをするための嫌がらせだった、という事です」  

 小学生だった時は、みんなが『ダイエットだ』と思っていたかもしれないが、正しい知識を持った目で見れば、三人組がした事はダイエットを口実にしたイジメだと言えた。

「受けていた本人が辛い思いをしていたとすれば、それはイジメです。私は、飛騨さん達が小学生の頃にナツミさんをいじめていた、と思います」

 そして結は、続けてナツミを擁護する言葉を言った。

「ナツミさんのやり方は良くなかったのですが、私個人としては、今この場で騙された事に対する謝罪を強要するのも良くないと思います。貴女達は今でも、ナツミさんにした事を反省するどころか、あの頃は酷い事をした、と気づいていないようですから」

 『太っているから』という理由で、ダイエットを口実に食べたかった物を盗られ、本来やるべき掃除を押し付けられたりしたのだ。小学生の頃にいじめに遭っていた結は、ナツミの気持ちが分かる気がした。

「もしナツミさんに謝ってほしいのなら、先に貴女達が自らの行いを振り返り、何がどう悪かったのか反省してからです。ナツミさんがこんな事をしたのは、小学生の時の貴女達からのいじめが原因なのですから」

「霧島さん…」

 結の言葉を聞いたナツミは、心の中がだんだん晴れていく気がしたのだ。

 六年生の時に誰も分かってくれなかった、いじめられて辛い思いをしていたことを理解してくれた。 ナツミは、結のおかげで辛かった気持ちが少しづつ和らいでいくのを感じていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る