第418話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その124

「あのウエイトレスの子が、これを飲んでいるから痩せた、って聞いて…」

 右端に立っていた女生徒が、おずおずと話し始めた。

「もしかして、ケーキバイキングの喫茶店の」

「そう、ツインテールの。すごく綺麗だったから、私達もあんな風になれるって…」

 理由を聞いて結は「なるほど」と納得した。あんなに綺麗な容姿の子が飲んでいる、と知ればつい試してみたくなるだろう。

 だが、結はもう知っていたのだ。ナツミはそのサプリを飲んでいない事を。

(先週の土曜日に聞いてみたら、ナツミさんは単なるビタミン剤を『痩せるサプリ』だと嘘をついて渡した事は認めていましたし)

 その時、喫茶店の従業員の部屋で結が調査結果を見せて聞いてみたところ、ナツミはあっさりと認めたのだ。そんな事をした理由は、あの三人が喫茶店に迷惑をかけたから、懲らしめるためにからかってやろうと思った、と。

 しかし、結は『それにしてはタイミングが早すぎる』と思った。迷惑をかけた、と言うとケーキバイキングのケーキを大量に一つのテーブルに置いて、それを無理やり神崎へ食べさせようとした事だと思われるが、それだけで偽の痩せるサプリの話をするとは無理があるような気がした。

 その事を話すと、ナツミは「あのサプリは偽物だと、こっちから話して謝っておく」と言われたのだ。三人組に会うのは来週の月曜になるため、結が確認出来るのは月曜日に学校に行ってから、となる。

 ナツミが本当にそうするのか、結には分からなかった。なら、ナツミの方から話せば納得してくれるだろう、と結は判断したのだ。

(…どうやら、ナツミさんは話していないようですね)

 もし話していれば、すでに偽物だと知っているはず。だが、三人組は結が話すまで知らなかったのだ。

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