第402話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その108

「今回はプライベートで来ましたから、抜き打ちの視察、という訳ではないですよ」

 従業員が嫌な目に遭っていたのに、その対応に遅れてしまったところを見られてしまった…、と焦っていた店長へ、結の父は落ち着かせるように声をかけた。   

「うちの店員を助けていただいたと聞いて…、ありがとうございます!」

 一旦足を止め、肩で息をしていた店長は落ち着いた後にすぐ勢いよくお辞儀をした。

「娘が『そちらの店員のお嬢さんと話がしたい』と言ったから、一緒に来たのです。もしよろしければ、ご都合のいい時間を教えていただけませんか?」

 結の両親が一緒に来た理由は、まだ結を一人で外出させるのが心配だったからだ。一昨日に結を襲った犯人はまだ見つかっていないので、念のためこうして一緒にやって来た、というわけだ。

 ちなみに、学校にも昨日の朝に伝えたが、学校側は結が襲われた事は発表しなかった。これは結が懸念していた、成宮グループからの過剰反応を防ぐためであった。

 下手に騒ぐと、成宮グループが『警備を強化する』と言って学校の近くに何十人もの警備員を派遣してくるかもしれない。高校側としては生徒達を守ってくれるのは有り難いが、学校の周りが物々しい雰囲気になるのは近所にかえって不安を与えたりするので正直それは避けたかったのだ。     

「私は今でもいいのですが…」

 しつこく言い寄られて精神的に疲れていたナツミは、店長へそう申し出た。

「そうか。それなら、今から奥の従業員室でのお話となりますが、よろしいでしょうか?」

 結が成宮グループの社長の姪だと知っていた店長は、結へそう聞いてきた。

「はい、ありがとうございます」

 すぐにナツミと話が出来る手はずを整えてくれた店長へ、結は深く頭を下げたのだった。

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