第401話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その107

「これでもう、言い寄ってこないと思うよ」

 そう言いながら、結の父は安心させるように優しい眼差しを向ける。

 あの社員の時とは真逆なその温かい笑顔に、ナツミは不安な気持ちが消えていくのを感じていた。

「本当にありがとうございました。朝から言い寄って来て困っていたので、助かりました」

 丁寧にお辞儀をしながら、ナツミは礼を言った。それは接客の動作ではなく、心からの感謝の気持ちがこもっていたのだ。

「あの社員の行為は、許される事ではないからね。来週中に、処分は下るだろう」

 凛としたその表情に、ナツミは「格が違う」と思ってしまった。これが、成宮グループの本社の部長なのだと。

「霧島さん、あんな人の言葉なんか気にしなくていいよ。あんな格下の暴言なんて、聞く価値もないから」

 結の方を向いて、ナツミははっきりとそう伝えた。自分を庇ったために酷い言葉を浴びせられた結を心配していたからだ。

「はい、ナツミさん」

 その気遣いに、結は感謝の気持ちを込めて返事をした。

「…霧島部長が来ていると聞いて!」

 店の奥から、三十代後半のスーツ姿の男性が慌てて駆け寄ってきた。

「店長!」

 その男性を見て、ナツミが少し目を丸くする。こんなに慌てていた店長を見たのが初めてだったからだ。

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