第400話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その106
「プライベートとはいえ、同じグループの社員へ迷惑行為をした事は報告させてもらうよ」
その宣告に、社員は体から血の気が失せた。霧島部長は、セクハラやパワハラなどに対して厳しい処置を取るのは、本社の人間なら誰もが知っているからだ。
一か月前に別の部署の係長が本社の女性社員へ酷いパワハラをし、退職寸前まで追い詰めたと知った霧島部長は、すぐにその社員を県外の子会社へ左遷させただけでなく、弁護士に頼んで慰謝料まで払うように命じた、という噂を耳にしたからだ。
さらに、霧島部長の娘への暴言もある。それはプライベートな事だからと、と報告はしないだろうが、霧島部長の怒りを知ってしまった今、このまま謝罪しないわけにはいかなかったのだ。
「…も、申し訳ありません」
全身をガタガタ震えながら、社員は霧島部長へと頭を下げた。
「私からの報復が怖いから、謝罪をしたのか?」
だが結の父親は、氷のような冷たい目でそう指摘した。
「…!?」
もう許されない事をした、と全身で冷や汗をかいた。
「お父さん、私は気にしていませんから。それより、ナツミさんへの迷惑行為を止めさせてください」
暴言で傷ついているはずなのに、結はナツミを助ける事を優先させたのだ。
「…もうこのお嬢さんに近づかないこと。分かったかい」
しっかりと言い聞かせるように、結の父は釘を刺した。
「…は、はい!」
まだ震えが止まらなかった足で、その社員は何度も転びながら、大慌てで喫茶店から出て行ったのだった。
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