第399話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その105

「君は、本社の社員だね。プライベートに口をはさむつもりはなかったんだが」

 ナツミへしつこく言い寄っていたのは、成宮グループの本社の社員だったようだ。そして、結の父親が自分の上司だと分かったのか、急に弁解するように身振り手振りで話し始めた。

「あ…!い、いや、部長、自分はこちらのナツミさんへ交際を申し込んでいる最中で…!」

「だったら、仕事中にするべきではないだろう?君は休みだが、そちらのお嬢さんは仕事中だ」

 結の父は毅然とした態度で、相手の都合をまったく考えていないその社員へ注意をした。 

「…そ、それは」

「話をしたいのなら、ます相手の事をきちんと考えるべきだ。そんな自分勝手な態度をとるべきではない、と私は思うのだが」

 結の父親の態度を見たナツミは、酷い態度を注意するだけでなく、ちゃんと相手を気遣うその姿勢に感動していた。自分にナンパしてきたこの社員とは、まさに雲泥の差だ。

「そして個人的な抗議として、私の大切な娘に暴言を言ったことは見逃すわけにはいかない。娘はその子を助けるために、君へ注意したんだ」

 冷静な顔に、大事な娘へ暴言を言った事に対する怒りを滲ませながら、結の父はその社員へそう言い切った。 

「……!?」

 社員は、ようやく気付いたのだ。この地味な少女が、霧島部長の愛娘で、そうとは知らずに暴言を言ったことで、霧島部長を本気で怒らせてしまったことに。

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