第398話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!?その104

「ここだな」

 行列に並んだ結の父が、喫茶店を見て確認する。

「はい」

 父の前に居た結は、肯定の返事をした。

「その子はお仕事中だから、まず都合のいい時間を聞いてみないと」

 一番後ろに、結の母が並んでいる。成宮グループの喫茶店だからといって、社長の親戚だという権限を振りかざすことなく、結達は他の客と同じように並んでいた。

 しばらく並ぶと、結達は喫茶店の中へ入れた。が、入り口の近くに居たウエイトレスが、一人の若い男にやたらと話しかけられていたのだ。

「困ります!今、仕事中なんです!」

 そのウエイトレスは、ナツミだった。もうさすがにウンザリした顔で、男へそう言い返していた。

「いーだろナツミちゃん。仕事が終わったら、一緒にお茶ぐらいは」

 そう言い寄っていたのは、二十代前半の短い茶髪の男だ。TシャツとGパンをだらしなく着ており、ナツミが嫌がっているのを全然気にしていない、という感じがした。

「あの、そのウエイトレスさんはお仕事中なんです。業務妨害は止めた方がいいと思いますよ」   

 すぐに結がナツミの近くまで駆け寄ると、キッパリとした顔で注意した。

「あ!?うるさい!このブス!」

 邪魔された怒りからか、その男は結へ暴言を吐いたのだ。

「娘の言う通りだ。社会人なら、ちゃんと周りを見て状況を把握するんだな」

 結の後ろから、厳しさを込めた声が聞こえてきた。その声をかけられた男は、「なんだうるせい」と不満顔を向けたが、

「き、霧島部長!?」

 結の父親の顔を見た瞬間、一気に真っ青になったのだ。

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