第391話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その97

 野崎は、今のままでは友達になるわけにはいかない、と思っている。 

 脅されたはいえ、華と結を騙してしまったのだ。しかも『霧島さんとは仲良くなりたい』と思っていなかったから。

 そう思ったのは、結は周りと仲よくしようとする態度をとってないように見えたからだ。フレンドリーな華と比べ、結は周りに壁を作っている。そんな感じがしていたからだ。 

 それでも、困っていた人がいたら当たり前のように助ける。だから結は心が冷たい人間だと思っていなかった。

 そして今、結は騙されたことに怒るどころか、庇ってくれる。こんなに優しい人に酷い事をしてしまったと、野崎はますます申し訳ない気になっていた。

「…霧島さん」

 結の優しさに触れ、野崎は『もう一つ言わなければならない事がある』と心に決めた。

「…これ、根津さん達から渡されたの」

 ブレザーのポケットへ手を入れると、そこから三粒の錠剤を取り出した。

「それは?」

「三日間で痩せるサプリ、って言っていたけど」

「―!?」

 結には、心当たりがあった。デパートの中にある喫茶店でナツミが、三人組へ『痩せるサプリがある』と話していたからだ。

 野崎の手のひらにある錠剤は、黄色の丸い形をしている。ぱっと見、よくある市販のサプリのようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る