第390話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その96

 なぜ、その場に居なかった野崎が知っていたのかと言うと、今日の朝に三人組から聞かされたからだ。

 わざわざ玄関で靴を履き替えた後にやって来て、礼を言うために報告してきたのだ。

「話してくれて、ありがとうございます」

 野崎の予想通り、結は責めるどころかかえって感謝の言葉を述べた。

「ごめんなさい…。霧島さんだけでなく、成宮さんにも嘘をついて…」

「…それは、私と『友達になりたい』についてですか?」

 責めるのではなく、落ち着いた声で結は理由を尋ねる。

「…私も、霧島さんに痩せるための本を選んでほしいって思っていたの。だから…」

 友人になりたいのではなく、自分も痩せたいためにそのための本を選んでほしかったから。

 もし、華がこの理由を知ってしまったら、失望して怒られてしまう。それもあって、野崎は華の前ではおどおどした態度になっていたのだ。  

「そうだったのですね」

 野崎が狙われたのは、三人組がそれを知ったからだろう。野崎は前に、神崎達の会話を聞いて「痩せたいなあー」と呟いていたから。

「…私、霧島さんとは友達になれないよ。私のために本を選んでくれたのに、嘘をついて成宮さんまで騙したから」

 罪悪感からか、野崎は涙声になっていた。

「悪いのは、根津さん達です。だからもうこれ以上ご自分を責めないでください」

 罪悪感の沼に沈んでいった野崎を助け出そうと、結は自分の気持ちを伝えた。

「…でも」

「華さんからは、私から話をしておきます。私は、野崎さんのお気持ちを尊重しますので」

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