第388話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その94

「…………」

 野崎は俯いて、黙ってしまった。まるで、申し訳ない事をしたように。

 その顔は悩んでいるようにも見えた。しかも、口に出せないほど深刻なくらいに。

「野崎さん、もしよろしければ話してくれませんか?」

 同じ目線になるように足を少し曲げ、柔らかい視線を向けながら、結は野崎へ話しかけた。

「…えっ!?」

「その悩みはもしかしたら、私では解決できないかもしれません。ですが、話してみる事で何かきっかけがつかめたり、野崎さんの心が少し軽くなるかもしれません」

 結は、野崎を心配しているのだ。急に顔が曇り、ここまで悩んでいるのを見て。   

「友達だから、そう聞いてきたの…?」

「もし友達でなかったとしても、今の野崎さんが気になるのです。それに、華さんがそう言って決めつけたとしても、どう付き合うのかは私と野崎さんの自由ですよ」

 友達とは、誰かが一方的に決めて付き合うものではない。肝心の相手と、そしてこちらの気持ちをあんまり考えていない華さんの強引さに悩んでいるのでは?と、結はそう思っていた。        

「…霧島さん」

 当たり前のようにこちらの気持ちを考え、そして思いやってくれる結に、野崎は顔を上げていた。

 こっちが何話そうと否定しない。きちんと聞いてくれて、受け止めてくれる。

 昨日、喫茶店で華が話してくれたように、結は優しい人だ。それに比べ、華は今思い出してみると野崎の話をあまり聞いていなかったような気がしてきた。

『結と友達になったら、こんな楽しい事がある』と、成宮グループの施設を使い放題な事を話していたが、何か違うような気がしたのだ。

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