第385話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その91

「華さん、すみませんが私はこれから野崎さんと一緒に図書室へ行ってきます」

「えっ!?」

 てっきりこれから三人で教室でお喋りするものだと思っていた華は驚きの声をあげた。

「私は本が好きなので、これからどのような本を読むのかお話ししようと思いまして」

「なら、私も…」

「いえ、申し訳ありませんが二人きりにさせてください。野崎さんは緊張していますので、私一人の方が話しやすいと思いましたので」

 穏やかな口調だが、華へ有無を言わさない威圧感を込めていた結に、華はややたじろぎながら『仕方ない』という顔になった。

「わ、わかったわ…」

 本当は納得いかなかったが、ここで結の機嫌を損ねたら上手くいかなくなってしまう。そう判断した華は、自分の横を素通りした結と野崎を見送ったのだった。  

 

 図書室に着いても、野崎はまだおどおどしていた。結は、そんな野崎へこう声をかけてみる。

「野崎さんは、何か好きな物はありますか?」

 結からの質問に、野崎はどう答えようか考え込んでいるようだった。好きな物はあるけど、あまり人に言えない。そんな感じがした。

 出入り口の前で立ち止まっている野崎を、結はじっと見守っていた。根気よく、野崎からの答えを待っているように。

「…運動の本」

「それでは、その本が置いてある本棚へ案内します。私は図書委員ですので」

 にっこりと笑った結に、野崎は「う、うん」と返事をしながらついて行った。     

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