第376話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その82

「そうよ、おかげで結ちゃんは風邪をひかなくてすんだから。本当にありがとうね」

 結の祖母も、満へお礼を言った。

「それで、どうしてその公園へ行ったんだい?」

 満の祖父は、続いてそう質問した。

「手紙で呼び出されたからです」

 そう答えた結が立ちあがり、床の間の前に置かれていた自分の鞄から手紙を取り出す。

 白い封筒に入っていた手紙は、無事だった。望ヶ丘高校の学生鞄は、防水性なので少しの水なら濡れても中身は無事なのだ。

「…よく見てみると、字がバラバラだね」

 結が持ってきた手紙を見て、満の祖父は指を顎に添えながら言った。

「…あ!ホントだ!」

 満も、よく見てみた時に気づいた。一文字ずつ、微妙に違っていたのだ。

「筆跡で特定されないように、わざとそう書いたかもしれません」

 結は高校の玄関で手紙を読んだ後に、文字が微妙にバラバラなことに気づいていた。なぜわざわざこんな事をしたのかは、この事件に関係があるのでは、と思い始めていたのだ。

「この手紙を出した人は、私が襲われた事件と関係があるかもしれません」

 はっきりと断言しなかったのは、もしかしたら犯人に脅されてこの手紙を書かされた可能性があるからだ。手紙を書いて靴箱に置いただけなのに、それだけで結を襲って現金を盗んだ犯人だという濡れ衣を着せられてしまうから。    

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る