第372話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その78
「いえ…、私も家が近くなので」
「いや!じいちゃん家の方が断然近い!それに、ずぶ濡れにされたなら、水かけ強盗に襲われたかもしれないだろ!」
水かけ強盗とは、ここ最近この幸澤市に出没する通り魔みたいな強盗だ。外を歩いている時にいきなり頭に水を浴びせた後、ずぶ濡れで動揺している被害者から現金を盗んでいく、という犯行を繰り返していた。
「…その可能性はありますね」
確かに、いきなり水を浴びせられ、現金を盗まれたのだ。まさに、結の身に起こった出来事は水かけ強盗の手口とほとんど似ていた。
「じいちゃんは、元警察官だ。今でも後輩が警察にいるから、力になってくれる!だから、爺ちゃん家に行こう!」
真剣な顔で提案する満に、結は『本気で心配してくれている』と感じていた。
満は、目の前に困っている人がいたら助けようとする。『霧島が被害にあったと』気づいたから、こうして『助けたい』と思って行動しているのだ。
「…すみません、日野沢さん」
「いいって!遠慮するなって!」
頭を下げた結へ、満は安心させるように温かい声で返した。
満の祖父母の家は、言った通り結の家より近かった。
先に電話で連絡していたから、満の祖父母は結を見るなりすぐ「体を温めなさい」と風呂場を貸してくれた。結はその言葉に礼を言うと、温かいシャワーを浴びたのだ。
その間、結の制服などは満の祖母が洗ってくれた。満の祖母は「乾燥機付の洗濯機を買ってよかったわあ」と『備えあれば患いなし』と言わんばかりに笑っていたりする。
結を待っている間、満は祖父へさらに詳しく説明する。その後、インターホンが鳴ったのだ。
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