第373話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その79

「幸恵ちゃん!いらっしゃい!」

 玄関で出迎えた満の祖母が、インターホンを押した来客の名を呼んだ。

「今晩は、梅子ちゃん。結ちゃんがお世話になって、本当にありがとうね」

「ううん!困っている時はお互い様よ。ささ、上がって」

 大小の紙袋を持っていた、淡い水色の着物姿の老婦人は、静かに履物を脱いで上がった。


「おばあちゃん!」

 大きい紙袋の中に入っていた下着とワンピースを着た結が、居間で座っていた自分の祖母を呼んだ。

「結ちゃん!話は聞いたわ。貴女に怪我がなくてよかった」

 髪を乾かした結を見て、幸恵はホッとした顔になる。結が水かけ強盗に襲われた、と聞いたからだ。

「ごめんなさい、心配かけて」

「ううん!結ちゃんは何も悪くないわ!悪いのは結ちゃんを襲った犯人よ!」 

 少し俯くほど落ち込んでいた結へ、結の祖母はそう声をかけて励ます。そんなやり取りを居間の真ん中に置かれていたちゃぶ台の向こう側から、満と満の祖父は見ていた。

「結ちゃんは電話した時にはその事は話さなかったから、満君から聞いたのよ」

 今居る満の祖父母の家に向かう前、結は自分の祖母へ「着替えを持ってきてほしい」と連絡したのだ。

 結の祖母は同居しているので、着替えはすぐ用意が出来た。満の祖父母の家の住所を話した時、満も驚く返事が返ってきたのだ。

(まさか霧島のばあちゃんが、うちのばあちゃんと仲が良かったとは知らなかった)

 満の祖母と、結の祖母は同じ職場の同僚だった。前に、仕事で困っていた時、結の祖母が助けてくれた事から、一緒にお茶を飲みに行く仲だと聞いたのだ。

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