第371話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その77

「待て!…ってうわっ!?」

 近くの道の方で声がしたと思ったら、何か軽い物が落ちた音がした。

「―!?」

 その声に、結は聞き覚えがあった。財布を学生鞄の中へ仕舞うと、速足で声がした方へと向かっていく。

「日野沢さん!?」

「霧島!…って!怪我はないか!?」

 道には、満が立っていた。制服のままだったから、学校から直接ここへ来たらしい。

「怪我はありませんが、日野沢さんはどうしてここに?」

「なんか水の音がしたから、気になって来てみたんだ。…もしかして、水をかけられたのか!?」

 頭から全身ずぶ濡れになっていた結を見て、満が驚いた顔で声をかける。    

「はい。あの公園に入った後、急に後ろから水をかけられました」

 満を心配させたくなかったが、この状態では正直に言うしかない。結は、出来るだけ冷静に、状況を説明した。

「と、とにかく、このままだと風邪を引くから、じいちゃん家に行こう!」

「えっ!?」

 満からの予想外の言葉に、結は普段なら出さない素っ頓狂な声を出した。

「じいちゃん家、すぐ近くなんだ。よく学校の帰りに寄っているし、ばあちゃんもいるから、大丈夫だ!」

 まさか同級生の祖父母に家へ突然お邪魔させてもらうとは、結は思いもよらなかった。

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