第367話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その73

「いいわよ別に。それくらいの余裕はあるし」

 お金の面だけでなく。心の方も余裕ありまくりな顔で華は言った。

「華さん、神崎さんは華さんへ感謝の気持ちを伝えたいのです。そのお金は神崎さんが差し出したことで、神崎さんからの感謝の気持ちがつまっています」

 結が、助け船を出すようにそう話し始めた。神崎の気持ちを伝える手伝いをするように。

「もし私が神崎さんの立場だったら、ぜひ受け取ってほしいのです。絶望していた時に、大きな力をもって助けてくれましたから、それに見合うお礼として、このお金を渡したいのです」

 神崎にとって華への恩は、返しきれないほどだ。高校生にとって大金であるこの慰謝料をすべて渡したいくらいに、神崎は華へ感謝しているのだ。

「…分かったわ」

 結にまで受け取るように言われ、華は神崎の気持ちがこもった封筒を受け取った。

「…あと、成宮さん、申し訳ないけど、今日は早く帰って休みたいの。根津さん達から嫌がらせされない、と思ったら気が抜けて疲れてきちゃったから…」

 そう言った途端、神崎が急に疲れが出てきた顔になった。ここ数日の三人組からの嫌がらせは、神崎から心身ともにダメージを与え続けていたのだ。

「…そう。なら明後日の土曜日にどこかへ行きましょう!」

 明るい顔でそう言い切った華に対し、結と神崎は同時に困った顔になった。

  

 それから休み時間の間、華は結と神崎のそばに居続けた。

 自分が傍に居れば、結達が仕返しをされずにすむ。華はそうやって三人組を牽制し続けたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る