第364話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その70

「い、いえ!私も先生に相談しなかったから…!」

 神崎は首を何度も勢いよく左右に振る。三人組に絡まれていた時は『先生に相談する』という考えが全然浮かばなかったのだ。

「これで神崎さんは、もう安心して学校生活を送れますわ」

 華が笑顔を浮かべながら、秋野先生へそう言い切った。

「確かに、そうかもしれない」

 それに対し、秋野先生の顔が少し曇る。華はなぜそんな顔になったのか分からなかった。

「成宮さん、君が今回彼女らにした方法は正しい手段の一つだ。だが、力ずくで相手に制裁を加える方法だけが、正しい手段とは限らないんだ」

「…え?」

「人の心を動かすのは、お金や権力だけじゃない。相手の話に耳を傾け、否定をせずに受け止め、その心や気持ちに寄り添うのも、一つの方法だ」

 諭すように話した秋野先生は一瞬、結の方を見た。

(…?)

 結は、なぜ秋野先生が自分を見たのか、分からなかった。だが、秋野先生が伝えたい事はだいたい理解できたのだ。

「権力とかで無理やりいう事を聞かせようとしたら、相手が納得せずに反感を持ってしまう、と言う事ですね」

「ああ。今回は神崎さんへしたことを考えると、弁護士に頼むのはやりすぎではない。だが、根津さん達はそれで納得がしなかったら、逆恨みをしてくるかもしれないんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る