第362話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その68
「これ、根津さん達から回収したお金よ」
三組の教室から離れた廊下で、華は手に持っていた封筒を渡した。
「…これは!?」
封筒の中には、一万円札が三枚入っていたのだ。高校生にとって、目が飛び出るほどの大金だ。
「ケーキバイキング代と、わざと多く持ってきたケーキの代金。そして今までの嫌がらせによる慰謝料よ」
華が弁護士を通じて取った慰謝料はそう多くないが、神崎の場合『弁護士が出てくるほどの嫌がらせを受けた』という事を根津達の親に知らしめるために請求したのだ。
「…こんな大金、受け取れないよ」
華のおかげで食べきれなかった分のケーキの代金は払わずにすんだし、根津達の分は華がすべて立て替えていた。だから慰謝料を含んでいるとはいえ、ここまで多く貰えるのはかなり気が引けたのだ。
「いいのよ!貴女は酷い目に遭ったのだし、これで結と街で遊びに行って!」
明るく言う華に対し、神崎は戸惑う。霧島さんとはまだ、そんなに親しくなっていないのに、と。
「だけど、成宮さんに立て替えてもらったから、その分は返さなきゃ!」
昨日の喫茶店では、華は来てくれた同級生達の飲み物代も出しているのだ。華が好意でしたとはいえ、やはりこのままあれこれ立て替えてもらったまま、というのもまた気が引けてしまったのだ。
「華さん、ここにいたんですね」
突然、結の声が聞こえてきた。
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