第355話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その61

「私は理不尽な事を見逃せなかっただけよ。神崎さん、辛かったね」

 優しい言葉に、神崎の目からまたぽろぽろと涙が零れた。華のおかげで、三人組からの理不尽な支払いを一つ減らせたからだ。

(…良かったです)

 結は、『華さんに相談して良かった』と心から思った。成宮グループの社長の娘の頼みでなければ、店長はこんな方法を快く認めてくれなかっただろう。 

 それに、協力してくれた同級生の中には、すでに私服に着替えていた同級生がいた。帰宅した後、華からの誘いを受けてわざわざここまで来てくれたのだ。

(華さんだからこそ、できた事です)

 人望がある華だからこそ、こんなに協力してくれたのだ。結は(華さんのおかげで、何とか解決できました)と思っていた。

「…あ、料金払わなきゃ」

 無理やり連れてこられたうえ、ケーキを食べさせられたとしても自分の代金は払わなければいけない。

 神崎は席に戻って、学生鞄から財布を取り出そうとした。が、 

「神崎さんは払わなくていいわ。私が立て替えるから」

 予想外の華の言葉に、神崎だけでなく結達も「ええっ!?」と驚いた。

「お詫びとして、あの人たちに払ってもらいましょう。楽しい時間を提供する成宮グループの店で、こんな嫌がらせをしたことを、後悔させてあげるわ」

 にっこり笑顔で言い切った華だったが、結はその笑顔から感じていたのだ。華は、本気であの三人組に怒っていることを。  

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