第351話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その57

「…変わってないのね」

 一瞬、ウエイトレスが小さな声でそう吐き捨てた。

「…え!?」

 杉村と竹町が、一瞬だが怒りがにじみ出たウエイトレスの様子に驚きと戸惑いが混ざった反応をする。

「お客様、その方が帰られたのなら構いませんよ」

 すぐ天使の営業スマイルとなったウエイトレスを見て、二人は「見間違いかも…」と思った。

「神崎さん、私達もケーキバイキングを頼んだから、一個なら食べられるよ」

 少しでも負担を軽くしようと、杉村はそう声をかける。

「…えっ!?でも」

「神崎さんの事が心配だから、ここへ来たの。私達では大して力になれないけど…」

 竹町からの言葉に、神崎は何度も首を横に振る。     

「…そんな事ないよ。…正直嬉しい…」

 味方になってくれる人がいる。竹町達の存在が心から嬉しかった。

「華さんが、こちらへ来てくれるそうです」

 スマホを切った結が、安心させるように神崎へそう伝えた。

「成宮さんが!?」

「はい、このお店は成宮グループの系列なので、華さんから頼めば、何とかしてくださると思います」

 華の父親は、成宮グループの社長だ。社長令嬢からの頼みならば、店側も今回は神崎が困っていることを分かってくれるだろう。   

「今回は華さんの力をお借りしました。神崎さん、これで自分以外のケーキバイキングの代金を無理に払わなくてすむようになると思いますよ」

 一度こちらで立て替えてから、明日学校で根津達へ払ってくれるように言う。結はこの時そう考えていた。

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