第342話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その㊽

 女子高生達は速足で、すぐにパウダールームへと入った。それで、トイレ側に居た結に気づかなかったのだ。

「たみちゃん、むーちゃん」

 浦が明るい声で、根津多美子と飛騨睦美の名を読んだ。

「そろそろ仕上げと行きましょう」

 根津の声が聞こえてきた瞬間、結は制服のポケットからスマホを取り出す。慣れた手つきでスマホを動かすと、ギリギリまでスマホをパウダールームの入り口まで近づけた。 

「鞄持ってきたー?」

「ええ、神崎さんの分も持ってきたから、そこから動けないはずよ」

 浦の質問に、根津が左手で持っていた学生鞄を見せた。

 三人組の鞄には、お揃いの花柄のキーホルダーが付けられている。根津が見せた鞄には、そのキーホルダーはなかったのだ。

「私達が帰る時に、鞄を渡してさっさと店から出れば、支払いは神崎さんに任せられるわね」

「今までおごってあげたから、ここのお金は神崎さんもちねー」

 浦があっけらかんとした声で言うと、根津と飛騨も笑った。三人とも、自分達のケーキバイキングの代金を払うのは当然!と考えている。

(証拠の音声、手に入れました!)

 声を出しそうになった結は、スマホを一度引っ込めた。もし見つかったら、盗撮したと疑われてしまうからだ。

 動画ではなく、録るのは音声だけにしたのも「盗撮した」と疑われないようにするためだ。動画のデータがなければ、三人組に「盗撮された」と疑われずにすむ。

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