第340話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その㊻

「そんなに食べれないよ…」

 泣きそうな顔で、神崎は拒否する。

「遠慮しないで、せっかくの食べ放題なんだから」

 席に戻った根津が、さらに追加した五個のケーキを持ってくる。

「ホント美味しいわよ。神崎さんはさっきから一個しか食べてないじゃない」

 神崎の隣に座っていた飛騨が、ショートケーキを勧めてきた。

「もっと食べようよー!」

 飛騨の向かい側に座っていた浦も、チョコレートケーキを差し出した。

 華が部活で放課後は来られない、と知った神崎は、帰りのHRが終わるとすぐ教室を出ようとした。

 だがすぐに、根津達に捕まってしまったのだ。そのままこの喫茶店に連れてこられて、勝手にケーキバイキングを注文されてしまったのだ。

 隅の席に座らされてしまったので、ここから動けない。鞄も根津が持っているので、先にお金を払って逃げ出すのも不可能だった。

「トイレに行くねー」

 浦が席を立つと、反対側にある喫茶店内のトイレに向かった。

 神崎も行こうとしたが、あまりジュースを飲んでいなかった事から飛騨から「トイレに行く必要はないんじゃない?」と止められてしまったのだ。

(…もう、帰りたい)

 俯いたまま、神崎は心の中で悲痛な声を出していた。

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