第339話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その㊺

「予想通り、神崎さんへたくさんケーキを食べさせようとしていたね」

 ここへ案内される途中、かろうじて見た奥のテーブルの光景を思い出す。神崎の目の前のテーブルに十個以上のケーキが置かれていたのだ。

 それを思い出していた杉村は、両手を組んだポーズで言った。神崎は今、根津達三人組から嫌がらせを受けている途中だ。

「何とかできないかな。私達がその分ケーキを食べてあげるとか」

 もし神崎が食べきれなかったら、その分追加料金を払わされてしまう。結達が同じケーキバイキングを頼んだのは、無理やり押し付けられた分のケーキを代わりに食べるためだ。

 竹町からの提案に、結と杉村は同意するように頷く。だが、さすがに二個以上のケーキを食べれるかは結には自信がなかった。

「…根津さん達が居なくなったタイミングを見て、話しかけましょう」

 結がそう話すと、杉村が「じゃあ、まず私が飲み物を取ってくるね」と立ち上がった。結と竹町より面識がない杉村が一人で動いた方が、まだ見つかりにくいと考えたのだろう。

「私の分は、後で取りに行きます。一人で来た、と思わせた方がよろしいかと」

「私も、後で自分の分を取りにいくよ」

 結と竹町からの意見を受け、杉村はまず自分の分の飲み物を取りに行った。

 

 杉村がドリンクバーに着いた時、根津がケーキを五個も皿に載せていた。 

 背を向けていたので、杉村に気づかなかったのだ。それを幸いに、杉村はこっそり神崎の様子を伺った。

 ケーキはさらに増え、二十個もあった。椅子に座っていた飛騨と浦は一個だけ食べていたが、残りは神崎に食べさせようと勧めていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る