第334話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その㊵
神崎にとって、初めての楽しい昼休みだった。
入学したばかりは、一人で買ってきた菓子パンを食べることが多かった。ダイエットを始めてからは簡単な自作のお弁当を食べるようになったが、それでも一人だった。
昨日、あの三人組が強引にお昼を誘った時は、お菓子やジュースを無理やり食べさせられた。その間楽しいなんて思えなかったのだ。
だが、今は違う。ゆっくりとお弁当を味わう事ができる。
さらに華がいろんな楽しい話を聞かせてくれるのだ。お腹だけでなく、心も満たされる時間だった。
「神崎さん、もしよかったら毎日一緒に食べましょう」
昼休みが終わり、三組の教室へ戻る時に華がそう誘ってくれた。
これならもう、嫌な思いをしなくて済む。心強い味方を得たようで神崎はすっかり明るい気分になったのだ。
「霧島さん」
部活がなかった結が、鞄を持って一組の教室から出た時、廊下に居た杉村から呼び止められた。
「杉村さん、どうしました?」
「神崎さんが、あの三人組に無理やり連れていかれたの」
「―!?」
五時限目の後の休み時間も華が来ていたため、三人組は神崎に手を出せなかった。だが、今は華が部活に行っているから邪魔されない、と思ったのだろう。
「今、さやちゃんが尾行している。これからさやちゃんの元へ行くから。霧島さんも一緒に来てくれる?」
「はい!」
結は『もちろんです!』と力強く頷く。それを見た杉村は頼もしさを感じた。
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