「成宮さん…！？」

　先に声をかけてきた女生徒の名を呼んだのは、神崎だった。三人組も驚いたのか、神崎へお菓子を押し付けてきた手の動きが止まっていた。

「…あんた、もしかして成宮華？」

「成宮グループのお嬢様…」

「なんの用かなー？」

「神崎さんへ嫌がらせをするのはやめてくれない？いくら神崎さんが痩せたからって、そうして無理やり太らせようするなんてみっともないわ」

　余裕たっぷりの表情で、華は三人組へ言い切った。

「…なっ！？」

　根津の顔が、一気に険しくなる。まるで『自分達が神崎を虐めている』と言われたからだ。

「なに成宮グループのお嬢様が出しゃばって来るの」

　飛騨が不機嫌な顔でトゲを含んだ声を出す。

「あなたには全然かんけーないでしょー？」

　浦が不満げな顔で追い払おうとした。が、　　　

「あら、困っている人を助けるのは当然でしょう？」

　サラサラとした髪をかき上げながら、華は涼しい顔で三人組の口攻撃を華麗にスルーした。

「さすが成宮さん…！」　　

「…あの三人組に対して余裕だ！」

　同級生から、驚きと称賛の声が聞こえてきた。

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