第327話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その㉝

「パパ!」

 華がソファに座ったまま振り向くと、三十代後半の男性が立っていた。

 自信に満ちた顔は『凄腕の実業家』という雰囲気を纏っており、ブランド物の質のいい服を着こなしていた。

「どんな番組を見ていたんだ?」

「今大人気の学園もののドラマよ。今日は主人公の友人が中傷で追い詰められていく、という内容だったの」

「そうか。確か番組放送終了時にSNSでも話題になるほどの人気だったな」

「そう!先週は主人公が片思いしている先輩と、いい雰囲気になった事で話題になったわ」

 成宮グループの社長として、普段は仕事が忙しいが、大事な娘との時間は大切にしていた。華も、父親とこんな風にお喋りをする時間を大事に思っているのだ。

「そう言えば、結ちゃんはどうだ?もう友達ができたか?」

「ううん、全然…。でも、今日はダイエットの相談に乗って上げたから、それがきっかけで友達が出来るわよ!」

「そうか、結ちゃんはいい子だから、きっと友達がたくさんできるぞ」

「そうそう!それがきっかけで、アニメが好きな事を話せばもっと仲良くなれるわよ!」

「そうなったら、我が家に招いてパーティーを開くか。きっと楽しい時間になるぞ!」

 大事な姪である結について聞いた後、親子でさらに盛り上がったのだ。肝心の結の気持ちを考えずに、勝手にそう判断して。   

「兄貴…、いや結ちゃんの父親はのん気すぎる。前に心配して話をしたら、結ちゃんに友達が出来なくてもいい事を言っていたし」

「というか、伯母さんもそうだし…。なぜか結が友達がいなくてもいいような感じなのよね」

 友達がいた方が楽しいのに…、と華と華の父親は同時に困ったように顔を見合わせたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る