第325話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その㉛
神崎が自宅へ着いた時、夕日がほぼ沈んでいた。
玄関を開けて、脱いだ革靴をきちんと揃える。「ただいま」と言っても、返事はない。
「今日も遅いんだ…」
両親の仕事が忙しいのは、もう分かっていた。二階の自室へ向かうと、制服から白色へのワンピースへ着替えた。
「夕飯を作らなきゃ…」
台所へ入った神崎は、エプロンを身に着けると冷蔵庫を開ける。
「今日は、鶏肉と…、野菜がたっぷりはいった煮物にしよう」
ダイエットとなると、まず『肉類を控える』と考える場合が多いが、結の案内で見つけた健康の本には『しっかりとたんぱく質を取る事が大事』と書かれていた。
ダイエットメニューが載っている本にも、カロリーと脂肪が低めでたんぱく質が取れる料理が多かった。それを知った時、神崎の目からうろこが出てしまったのだ。
実際に毎日作って食べてみると、少しづつ体重が落ちていった。その他にも、夜遅くに食べないようにする、おやつにお菓子を食べ過ぎないように、といろいろ見直した結果、無理なく6キロも痩せれたのだ。
だが、今日一日あの三人組に、大量のお菓子を無理やり食べさせられた。もう数日は食べたくない、という嫌な気分になっただけでなく、体重も増えてしまう可能性もある。
「…せっかく霧島さんのおかげで痩せれたのに…」
神崎は大きくため息をついた。
しかも明日も、あの三人組はお菓子を強制的に食べさせるつもりだ。神崎が自分達より痩せたのが気に食わない。そんな理由で、神崎へ嫌がらせをし続けるだろう。
さっき華は『結と友達になれば、あの三人組からの嫌がらせはなくなる』と言っていたが、神崎はすぐにその提案に乗るわけにはいかなかったのだ。
結と一緒にいた竹町が、昼休みの後に三人組から陰口を言われてしまったのだ。しかも、帰りのHRが終わっても、わざと聞こえるように竹町への嫌味や意地悪な発言は止まらなかった。
もし結と友人になったら、また三人組は結へ酷い事を言う。それはなんとしても避けたかったのだ。
「…まず、断らなきゃ。もう、こんなにお菓子は食べれないって」
いろんな野菜と鶏肉を出した後、神崎はまたため息をつきながら冷蔵庫の扉を閉めた。
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