第319話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その㉕

「ちょっといい?前から貴女とお話がしたかったの」

 歩道の横に止まった高級車から降りてきた華は、驚きのあまり声が出なかった神崎へ声を掛けてきた。

「わ、私に…!?」

 急に声をかけられた神崎は、慌てふためく。この幸澤市で有名な成宮グループのお嬢様から『話がしたい』と言われるとは夢にも思わなかったからだ。

「立ち話もなんだから、場所を変えましょう?神崎さん、ついて来てくれる?」

 そう言った華は、すぐ運転手へ先に家へ戻るように指示した。高級車が走り去った後、華は横断歩道がある方へと歩き始めたのだ。

「…成宮さん、どこへ…?」

 赤信号なので横断歩道の前で止まっていた華へ追いついた神崎は、戸惑いながら聞いてきた。

「あそこよ、八階の喫茶店」

 にっこり笑いながら、華が言った喫茶店がある建物を見て、神崎は言葉を失った。

 その建物は、成宮グループが経営するデパートだったからだ。

 

「わあ…!」

 入り口の隣にある、ショーウインドウを見た神崎がうっとりとした顔になった。

 今年発売された、可愛い水着が飾られていたからだ。色どりどりのビキニなど、カラフルなデザインの水着が、これからくる夏への期待感を高めている。

「私、こないだ新しい水着を買ったの」

 そう言いながら華は、素早くスマホを操作する。すると、画面に可愛いビキニを着た華の写真が出てきたのだ。

「ここで水着を買うと、5階の写真スタジオですぐに水着の写真を撮ることができるのよ。水着を買った時のレシートを見せれば、無料で使えるわ」

 写真の華の背景は、その写真スタジオのでの一室だった。一つの個室をまるごと借りるので、盗撮される心配はない、との事だ。  

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