第313話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その⑲
「…そう言えば、今日の朝のHRで先生が言っていたね」
神崎の右隣に居た女子が、思い出したように呟く。一週間前から幸澤市に現れたこの水かけ強盗は、今日被害に遭った女の子を入れて五人の被害者を出していた。
「…現金だけ盗んでいくとはいえ、怖いよね」
神崎の前側に居た別の女子も、机に置いたままの両手を離して上半身を起こした後に体が少し震え始めた。もし、いきなり後ろから水をかけられたうえ、現金まで奪われたらショックですぐに立ち直れないかもしれない。
「…帰りのHRでも言っていたよね。もし被害に遭ったら、必ず学校か親に知らせてほしい、って」
神崎達は声がふるえていたくらいに、水かけ強盗を怖がっていた。
だが、神崎へと向けていた視線を、すぐ側に座って居た飛騨と浦の方へと向けた根津だけでなく、その二人も、水かけ強盗にはあまり興味がなさそうな顔で何やらひそひそ話を始めたのだった。
次の日、昼休みに華達とお弁当を食べ終えた結は、一人で図書室へ行こうと教室を出た。
「あっ!霧島さん!」
一組の教室のドアを閉めた時、結は後ろから声をかけられる。振り向くと、二人の女生徒が結の元へ歩いてきたのだ。
「竹町さん、杉村さん、今日は」
自分に声をかけてきた黒い髪の三つ編みの大人しそうな顔をした女生徒へ、結は挨拶をした。
「…今、ちょっといいかな?」
やや遠慮がちに聞いてきた竹町さやかへ、結は「ええ、構いませんよ」と穏やかな顔で答える。
「同じクラスの神崎さんが、今日の朝から困った人達に絡まれているの」
神崎が良くない状況に陥っている、と気づいた結は、真剣な顔で竹町の話を聞き始めた。
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