第311話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その⑰

「根津さん、飛騨さん、浦さん」

 神崎は、その三人の名字を呼んだ。その声には、三人への苦手意識が含まれていた。

「そもそもなんでダイエットしようとしたわけ?痩せて自慢したいの?」

 どこか妬みがこもった声でいきなり聞いてきたのは、根津多美子だ。入学したばかりの頃に太っていた神崎が、最近ダイエットに成功して痩せたのが気になったらしい。

「…入学した後、小学校の同級生に再会して、その子が痩せて綺麗になってたから…」

 ダイエットを決意したきっかけは、高校生として初めての休みで町へ遊びに行った時、偶然その同級生に出会ったからだ。当時は地味で平凡な容姿だったが、中学生の頃からダイエットやオシャレに挑戦し続けた結果、高校生となった今は別人のように綺麗になったのだ。

「今では友達ができ、毎日が楽しい」と聞き、神崎はダイエットをしよう!と決めた。高校に入学しても、新しい友達ができなかった事もあり、自分に自信を持てなかったからだ。

「それであなたは成功したってわけ?」

 ひがむようにそう言ってきたのは、飛騨睦美だ。根津と飛騨の体型は入学したころから標準的なので、自分達より痩せた神崎が気に入らないらしい。  

「いいなー!やーちゃんも痩せて綺麗になりたーい!」

 軽く握った両手に顔の下へ寄せながら、浦弥生も言ってきた。浦はこの二人に比べて小柄な体型なので、喋り方と合わさって少し幼く見える。

 戸惑う神崎のそばに居た女子達は、少しうんざりした目で根津達を見た。この三人は入学してから他のクラスメイトがちょっと目だったり、または褒められたりするとこうして絡んでくるのだ。

 ちなみに三人はいつも一緒にいる事が多い。そして三人ともお揃いの緑の四葉のクローバーのヘアピンを前髪の上の方に付けていた。

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