「根室さん、まだやっていないのにそう決めつけるのはよくないわ」

　まだダイエットの本すら選んでいないのに、それが失敗する可能性がある、と言っている根室へ華は反論する。

「誰もが、あなたのようにいつも成功するとは限らないのよ？まあ、お金持ちのお嬢様であるあなたと同じお金をかけたダイエットなら、うまくいくかもしれないけど」

　同級生達も、華がエステやジムへ通えたり、専属のシェフが美味しくて栄養バランスとカロリー計算もバッチリな料理を毎日食べられるのは知っている。それを華から説明された時、あまりにも自由に使えるお金が少なすぎる自分達にはできない方法に、同級生達は深くため息をついたのだった。

「どんな方法でも、心から『やりたい』と決意しなければ最後までできない、と思います。もし合わなかったら、別の方法を試してみる、という手もあります」

　お金がないと痩せる事ができない、という言い方をした根室へ、結はそう意見を述べた。たとえお金がなくても、痩せる方法は必ずあるからだ。　　　　　　　

「成宮さんは、霧島さんがダイエットの方法を教えれば人気者になれる、と考えているけど、一回教えただけでみんながずうっと霧島さんを慕うわけないでしょう？そんな人達にとって霧島さんは、簡単に知りたい事を教えてくれる、スマホで検索するより楽で便利な存在なんだから」

　根室はさらに、結は同級生にとって都合がいい存在だ、と言ってきた。わざわざ自分で調べなくても、聞けば代わりに一から十までお膳立てしてくれるから、と。

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