第306話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その⑫

「そんなわけないでしょ!?みんなはいつも仲良くしてくれているわ!」

 仲が良い同級生を侮辱するような根室の言葉に、華はさすがに強い口調で反論した。

「それは成宮グループのお嬢様であるあなただから、失礼がないように誠意を持って接しているのよ。親戚とはいえ、頭がいいだけで地味で控えめな霧島さんと一緒にいてもつまらないでしょ?」

 一緒にいてもつまらない。その言葉は結が小学生の頃に言われた言葉だ。

 華はお喋りが上手だが、結は上手くいかなかった。そのため新聞やテレビでいろいろな情報を頭に入れても、結局周りはその情報に興味をもってくれなかったので「一緒にいても楽しくない」と言われてしまったのだ。

 さらに『華の方が一緒にいても楽しい』と言われてしまったので、結は自分から話しかける事を止めてしまった。なお、華はこの事はまだ知らない。

「そんな事はないわ!結は物知りだし、分からない事は教えてくれるわよ!」

「楽しくおしゃべりができるのと、それは別でしょ?まあ、自分から頭が良い事を自慢しないのが、霧島さんのいいところだわ」

 根室との会話を聞いていた同級生達は、その内容にあまり強く否定出来なかった。華と一緒にいると楽しいは本当だし、結はそっけないように見えるので話しにくい、と思っていたのも本心だ。

「まあ、私と一緒にいても楽しくない、というところは自覚しています。だから便利に扱われた、としても私は気にしていません。たとえ一回きりでも、役に立てればいいのですから」   

 華と比べられて、何度も思い知らされていた事実をもうすでに受け止めていた結は、自分の気持ちや評判をよりも、困っている人を助ける方を優先する、と伝えた。

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