第299話 謎の美少女と、すぐ瘦せるサプリ!? その⑤

「私は向こうの本棚にいますので、もし何かあったら声をかけてください」

 落ち着いた声で言った後、結はその場から移動した。

 向こう側の、料理の本が並べてある本棚に着いた結はすぐに目の前の一冊の本を取り出す。そしてその場で数ページをめくって目を通すと、少し顔を上げて反対側へと視線を動かしたのだ。

 その先には、神崎が右手を伸ばして上の方の本を取っていた。その本はは、表紙の本の名前に『ダイエット』の文字が入っていたのだ。

(…神崎さんは、ダイエット関係の本を探しに来たのですね)

 その行動を見て、結は神崎が周りを気にしていた理由に気づいた。ダイエットの本を探している、と知られたくなかったのだ。

 神崎の体型は、結より大きい。背は同じぐらいなのだが、結が隣に居ると『結の方がまだ痩せている』と思えるくらいだ。

 この図書室は、とても広い。しかもいろんな種類の蔵書があるので、神崎は探せずに途方に暮れていたのだろう。

(…探している本を追及されたくない気持ちは、分かります)

 結もアニメや漫画関連の本を買いに来た時、学校の知り合いに気づかれないように警戒してしまう時がある。その時に実はアニオタだとバレて、何かと言われたくないからだ。

 最近はネット通販で買う事もあるが、それでも直接本屋へ行って買う方が多い。家に帰って読むまでのワクワク感を味わいたいからだ。

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