第287話 成績を上げる意外な方法 その138

「…で、でも今はそんなお洒落をさせようと思っていないんでしょ!?」

 華を励ましていた友人の一人が、咄嗟にフォローし始める。

「そうそう!ちゃんと霧島さんの意見を聞いたお洒落をさせるよね!?」

 隣に居たもう一人の友人も、慌てて同調する。

「…これを着せてみたい、と思ったの」

 華が自分のスマホを取り出し、検索で洋服の写真を出す。それを見た結達は、思わず「えっ!?」と声を漏らした。

 その洋服はピンク系の、フリルが多いワンピースだ。華なら似合うが、結にはちょっと微妙な感じがした。

「…変わっていませんね」

 頭の中で『ゴスロリ系』という言葉が浮かんだ結は、つい呆れながら呟いてしまった。

「これはちょっと…」

「成宮さんなら似合うけど…」

 昼休みに、結から理由を聞いた同級生達と友人達も、ついそう口にしてしまう。

「…そうなの?」

 忖度なしで言ってくれた周りの意見に、華は思わず聞いてしまった。

「という訳で、華さん、私はお洒落の件は改めて辞退させていただきます」

 はっきりと返事をする前に華が落ち込んでしまったので、結は今ここで改めて断った。

 ちなみに、先ほど結へ聞いてきた同級生が「お洒落の話を断った」と決めつけた言い方をしたのは、結が昼休みの時すぐに返事をしなかったからだ。どうやらすぐ返事をしなかったから、嫌だと思った=断った、という考え方がその同級生の中にあったらしい。

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