第286話 成績を上げる意外な方法 その137

「あれは、結はそんな事なんかしない!って誤解が解けたわ!」

「はい、それについての誤解は解けました。ですが、私のドレス姿は不評なままでした」

 確かに華からの説得で誤解は解けた。だが、結のドレス姿が不評だったのは変わりない事実だ。

「で、でも、みんな私が聞いたら『とても似合っている』と答えていたわ!」

「それは華さんがニコニコ笑顔で聞いてきたからです。それに、もし華さんの機嫌を損ねたら、誕生日会の楽しい雰囲気が台無しになる、と空気を読んだからだと思います」

「…うそ!?」

 初めて知らされた事実に、華は衝撃を受けた。

「当時の華さんは『似合う』と思って私へあんな恰好をさせたみたいですが、私にはミスマッチなドレスとメイクでした。日本人形に、フランス人形のドレスを無理やり着せて、西洋系の濃いメイクをさせた、という感じだったんです」  

 そのたとえ話に、満達は思わずその人形を想像してしまう。そして想像した後、頭の中で「うわあ…」と汗ジト状態となった。

「その時のトラウマは、今でも消えていません。私には華さんのような華やかなお洒落は似合わない、と思い知らされましたから」

 ため息をつきながら、結はお洒落を提案された時に乗り気でなかった理由を述べた。

「…そんな!」

 まさかあの時に結を傷つけていたとは、今まで華は気づいていなかったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る