第285話 成績を上げる意外な方法 その136

「華さん、少しよろしいでしょうか?」

 友人に励まされても、まだ少し暗い顔でやや俯いていた華へ、結は目線を合わせながら柔らかい口調で声をかけた。

「…結」

 これまで一言も返事をしなかった華が、ようやく口を開く。

「私は結の事を『引き立て役』だなんて全然思っていないからね!」

 真剣に言い切った華に対し、結は「分かっています」と理解した顔で答える。

「結だったお洒落をすれば、周りから認められるのに…」

 つい漏らしてしまった華の言葉に、結は「その事なんですが…」と話し始める。

「私がお洒落をしたくないのは、小学生の時に華さんが無理やり似合わないドレスを着せられたからです」

「…え?」

 結が話したその理由に、華が唖然とした顔になる。まるで、全然覚えていなかったように。

「華さんの誕生日会の時に、突然フリルがたくさん付いたドレスを着せられ、さらにとても濃いメイクまでさせられました。それが周りから不評で、さらに華さんの誕生日会を邪魔しようとしている、と誤解されたんです」

「…あっ!」

 ここまで説明を聞いた華は、思い出した顔になった。    

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