第282話 成績を上げる意外な方法 その133
結が行く気になったのは、大好きな『マジカルバディモンスター』とのコラボイベントをしていたからだ。お気に入りのモンスターの柄の着物が着れる!と知って、結はすぐ目を輝かせていた。
「その写真館では、まず私に似合う服を着て、メイクもそれに合ったものにしてもらいました。何着もいろいろな衣装を着て、写真を取ってもらった事で、ようやく立ち直れたのです」
コラボイベントの事は話さずに、結はシンプルなワンピースを着た、と説明する。それを聞いた同級生達は「えー!いいなー!」と声を出した。
「それを華さんへ見せた事で、誕生会で私が落ち込んでいた理由を父が説明しましたが、結局華さんはそれには気づかずに、父から送ってもらった写真をクラスの皆さんへ見せていました。その時、華さんから、私は華さんの誕生会を邪魔する気などなかった事は言ったので、誤解は解けたのですが」
結が誕生会を邪魔しようとした、と周りに誤解されていたのを知った華は、皆へ必死で「結はそんなことをしない!」と訴えた。華の剣幕に押され、招待された友人達は全員、結へ謝ったのだ。
「そうなんだ」
華がちゃんと説明をして、誤解を解いたと知った同級生達は「やっぱり成宮さんはすごいねー」と感心する。
「華さんは、私を引き立て役だとまったく思っていません。それどころか、私も自分と同じように『周りから注目されるべき!』と、思っています。ですが、私は目立つのは苦手なんです」
表立って活躍するより、裏方で支えるほうが結の性格に合っていた。それに、地味な容姿の自分が目立てば、陰でまた悪口を言われてしまう。
だから結は、普段は目立たずに過ごしたい、と思っているのだ。今では悪意ある言葉でも冷静に受け止められるようになったが、この域に到達するまでたくさん悩んだし、何度も落ち込んだのだ。
「華さんが私を気遣ってくれるのは分かります。ですが、肝心の私の気持ちを無視して勝手に暴走したことが何度もあるんです。私が昼休みにお洒落の件ですぐに返事をしなかったのは、また華さんが暴走して似合わない恰好をさせられてしまうのが嫌だったなんです」
結から理由を聞かされた後、同級生達は全員どこか納得した顔になっていた。
小学生の時のトラウマがあったから、ハイテンションになっていた成宮さんとは逆に、霧島さんは乗り気ではなかったのだ、と。
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