第278話 成績を上げる意外な方法 その129

「実は、成宮グループでその会社と取引を見直そう、という話が出てきたんだ。それで、その事をその会社の社長へ話した際に、ちょっと聞いてみたんだ」

 担当が代わってから、仕事の成果があまり上がらず、その会社の担当の社員の高学歴を鼻にかけた態度が成宮グループでも反感を買っていた。それで、本社の部長である結の父親が社長へその事を話した際に、それとなく前の担当として京川の父親について聞いてみたのだ。

「私情を挟むことだが『これから取引をするために、ちゃんと調査してほしい』と言っておいたよ。これで、京川さんのお父さんが助かるといいんだが」

 父親の話に、結も頷いていた。今まで真面目に働いてきた京川の父親が、学歴の事で理不尽な目に遭ってきたから、救われてほしい、と。


「話は変わるが…。今日、華ちゃんと何かあったのか?」

 続けて華の話となり、結は首をかしげてしまった。

「…え?」

「夕飯前に福次郎…、華ちゃんの父親から電話があったんだ。華ちゃんが学校で結へ『お洒落をしよう!』と提案したのに、結はあまり乗り気じゃなかった、って」

 父親からの話に、結は「…ああ!」と顔を上げた。

「それは華さんが一人で盛り上がったからです。私が昨日会った作高さんを説得したのを知って、私が華さんの引き立て役ではない、という事を証明するために『お洒落をしよう!』という話をしてきましたから」

 昼休みの事を思い出しながら、結は父親へ説明し始めた。

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