第271話 成績を上げる意外な方法 その122
「え!?それ本当なのか!?」
満が自室へ行った後、三村は満の両親からの話に驚いた。
「ああ、霧島さんのお嬢さんが、満と同級生なんだ。しかも、前にお嬢さんが襲われた時、たまたま通りかかった満が助けたんだ」
結が襲われた次の日の夜、結の両親は菓子折りを持って満の家へ礼を言いに来た。玄関先で立ち話もなんだから…、と結の両親を居間へと招いてお茶を出したのだ。
ちなみにその時、満は家に居なかった。学校の帰りに、祖父から突然の連絡があったので祖父母の家へ寄っていたからだ。
「満がお嬢さんを助けたってことから、つい話の勢いで『満にお嬢さんを守らせては?』って言ってしまったんだ。だが、霧島さんは『子供同士の付き合いに、親同士の関係を持ち込まない方がいい』と、『あの子は肩書だけで判断されるのを快く思わない子だから、お子さんには、自分達の娘に対して一人の人間として接してほしい、と思っています』と言われたんだ」
満の両親にすれば、満が恩人の娘である結を守ってくれれば、借金地獄から助けてくれた結の母親へ恩を返せる!と思ったのだろう。
だが結の両親はそれを断り、親同士の関係とは別に、本人同士の意志でどう接するのか決めてほしい、と伝えたのだ。
「それを聞いたら、恥ずかしくなって…。本当に心が立派な人達だなあ…、って」
三村も、その話から(霧島さんの旦那さんも、立派な人なんだなあ)と思った。借金を返している時に結の母親にお金の事で相談した時、親身になってお金以外の口まで耳を傾けてくれたのだ。
三村にとって、結の母親はまさに恩人だった。当の本人は「仕事ですから」と穏やかな顔で言っていたが。
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